個人的に、Google Tag Manager を触っていたら、会社の Google Tag Manager の設定に物を申すことが増え、そのまま会社の Google Tag Manager 担当になってしまいました。
今後の作業の引き継ぎすることになりましたので、そのスキルセットをまとめたいと思います。


短くまとめると

デジタルマーケティングエンジニアマーケティングテクノロジスト言われているスキルを持つ人材が該当するのかと思います。

マーケティングテクノロジスト方が、ドスの効いた言葉ですので以下、マーケティングテクノロジスト使います。

参考

スキルセット

【マーケティングテクノロジスト】クライアント企業の事業成長に資するデジタルマーケティング基盤の 設計・構築・活用をリードする | 株式会社電通デジタル人材要件の引用です。

  • マーケティングテクノロジーおよびアドテクノロジーに関する俯瞰的知識
  • その中の特定領域に関する専門的知識と実装スキル (有力ツールの認定資格保有は高く評価)
  • HTML/JavaScript/CSS、WebAPI(REST,SOAP)、Ruby/PHP/Javaなど フロントエンドエンジニアスキル
  • 要件を整理・合意形成するための論理的思考力とコミュニケーション力

正直、こんな人いるの? というスキルセットで、ポケモンで言うとレアポケモンです。


既存職種とのマッチング

以下の既存職種があるとして、マーケティングテクノロジストスキルセットとのマッチングを考えます。

  • ディレクタ (Dir)
  • マーケター (Mar)
  • フロントエンドエンジニア (FE)
  • バックエンドエンジニア (BE)

既存職種とマーケティングテクノロジストスキルセットマッチング

個人的な偏見を含みますが、以下のようになりました。

スキルDirMarFEBE
マーケティングテクノロジーおよびアドテクノロジーに関する俯瞰的知識🔺⭕️
その中の特定領域に関する専門的知識と実装スキル (有力ツールの認定資格保有は高く評価)
HTML/JavaScript/CSS、WebAPI(REST,SOAP)、Ruby/PHP/Javaなど フロントエンドエンジニアスキル⭕️⭕️
要件を整理・合意形成するための論理的思考力とコミュニケーション力⭕️⭕️🔺🔺
  • 既存職種からのコンバート
    既存職種からのコンバートを考える場合は、以下が適材かと思います。
    • プログラミングできるディレクタ、マーケター。
    • マーケテイング、ディレクタ業務に興味のある、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア。

組織での人材戦略

組織でどのようにマーケティングテクノロジストを、育成するかを考えます。

育成しない

自社に人材がいない場合、専門性の高い企業にソリューションを提供してもらうのも1つの手かなと思います。
導入、設置、運用を外部委託する。

育成する

  • コンサルティング会社に協力してもらう
    自社にノウハウがない場合、技術顧問を雇い、定期的に問題点を提示してもらい、質問に対して回答がもらえる環境を作れます。
    個人的には、予算など余裕があるのであればこれが一番効率が良いかと思います。

  • 外部研修を受ける
    セミナー、研修などでノウハウを身につけることもできます。

  • 書籍、資格などで自習する
    書籍、GAIQ等の資格を取得したり、まず自分達で学習を始めるのも1つです。


Google Tag Manager 担当者としてのスキルセット

Google Tag Manager の担当者は以下のようなスキルを持つことを推奨します。

JavaScript の知識

  • ECMAScript 5.1 以前の知識
    古いブラウザ向けに、カスタムJavaScript変数、タグを書く場合、ECMAScript 5.1 以前の知識が必要になります。
    ECMAScript 2015 以降が動作するブラウザでも、ECMAScript 5.1 以前のスクリプトは動作するため、しばらくは古いブラウザ互換のためにECMAScript 5.1以前の文法でJavaScript を書くことが多いです。

  • ECMAScript 2015 以降の知識
    カスタムテンプレート機能 を使う際に使用するJavaScript は、ECMAScript 2015以降の文法で書く必要があります。
    このため、ECMAScript 2015 以降の知識も必要になります。

  • 参考

Webの知識

基本的なWebに関する知識はあったほうがいいかと思います。 イメージ的には、以下の書籍にのっている内容です。
Webマーケターのためのテクノロジー入門: Webマーケターにとって必要十分なプログラミング・テクノロジーの基礎を解説。 | 山田良太 | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon

Google Tag Manager の知識

勿論、Google Tag Manager 自体の知識が必要になります。
日本語書籍は、数が少なさそうで以下を読んで頭に入れるのがいいと思います。

Google Apps Script の知識

Google Apps Script の知識もあると便利です。
いうのも、アカウント管理などを実施する必要があり、そのあたりの自動化のために、Google Apps Script を使うことがあります。
具体的にGoogle Apps Script から、Google Tag Manager API を実行して、アカウントの一覧をスプレッドシートに出力したりできます。
* Google Tag Manager API - 概要  |  Google Tag Manager REST API

マーケティングツールに対する知識

Google Tag Manager に タグ設定したマーケティングツールに対する知識も必要になります。
これは、都度覚えていけばいいと思いますが、Web API ドキュメントを読む必要があるので、フロントエンドエンジニアや、バックエンドエンジニアとしてのスキルがあるととっつきやすいです。

SQL、RDB に関する知識

RDBと、マーケティングツールとのデータ統合を考えた場合、SQLの知識、RDBに関する知識もあると便利です。

サイトパフォーマンスに対する知識

Webサイトに3rd party のタグを設置するということは、障害点を増やすということです。
フロントエンドSPOFの問題もあり、サイトパフォーマンスに対する知識もあるといいかと思います。


Google Tag Manager 担当者のタスク

作業ベースで何をするのかを記載します。
組織により変化するかと思いますので、あくまで個人的なイメージです。

  • Google Tag Manager のアカウント管理
    入社時のアカウント設定、退職時のアカウント削除を実施します。
    それなりの規模の企業だとカオスになるので、Google Apps Script 等である程度自動化したい作業です。
    sahava/gtm-tools-sheets-documentation: GTM documentation tool for Google Sheets良い感じに可視化ができるかもしれません。

  • Google Tag Manager コンテナの分割方針を決める
    サイト規模で、コンテナの使用法などを勘案して、ドメインごとに分ける、URLディレクトリごとにわけるなど、分割方針を決める必要があります。
    コンテナのサイズには上限があり、無料版でもコンテナから別コンテナのタグ配信ができます。
    有料版だとゾーン機能が使用できるようになるので、利用状況からROIを考えて有料化するか否かも判断できるのが理想です。

  • 新規コンテナ作成時の初期設定
    以下のような作業が発生するかと思います。

    • Google Analytics の カスタムディメンションに設定する値を取得するための、ユーザー定義変数の作成。
    • 使用する組み込み変数の準備。
    • 配信予定のタグの洗い出し、場合によってはタグの設置。
  • 導入済タグのサービス管理
    サイトでどのタグが配信され、タグ配信サービスが停止すると何が起こるのかを把握する必要があります。
    この辺りはもしかしたら、社内インフラ組織管轄なのかもしれません。

  • タグ導入、マーケティングツール視点での、コーディングガイドラインの準備
    タグ導入、マーケティングツール視点で、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアに、コーディング時に気をつけることをコーディングガイドラインとして整備します。
    具体的には以下があります。

    • クエリストリングが欠落するリダイレクト処理を行わない。
    • サイト全体で共有して、必要になるデータレイヤ変数の定義、実装方法をまとめる。
    • コンバージョン計測に影響がないURL設計になっているか。
  • テクニカルなカスタムHTMLタグの実装
    JavaScript をゴリゴリ実装するタイプのタグは、マーケター、ディレクターの手に負えない場合があります。
    そのようなタグはGoogle Tag Manager の担当者が設定するのが良いかと思います。


マーケティング組織と、社内インフラ管理組織

ある程度の規模以上の組織において、マーケティングツールのアカウント管理も課題かなと思います。
マーケティング組織が社内インフラ管理組織に、ID申請をして、アカウントを払い出す仕組みの方が、セキュリティ観点では安全かもしれないと思いました。

あまりまとまらず、思いついたことを書きました。
以上です。

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